未完成であることが、
楽しいと思える。

H様

number:
456
structure:
マンション
type:
5LDK→3LDK
area:
100.41㎡
construction:
全面改装
place:
大阪府吹田市
price:
約1,850万円

リフォームのきっかけ

ご主人様:
4年前、結婚を機に新居を探し始めました。僕は不動産会社で働いているので、物件探しは自ら行いました。予算は限られていましたが、立地、間取り、広さ、内装に妥協したくなかった。だから、最初から新築物件の選択肢はありませんでした。新築物件だとどうしても割高になり、どこかで妥協することになる。それよりは、中古物件を買って、自分たち好みの空間にリノベーションしようと決めていました。

思っていたより早くに希望する物件は見つかりました。駅から近くて、利便性に優れていることに加え、徒歩圏内に万博公園があるという好立地。ただ当初は、狭い部屋しか売り出されておらず、広い部屋の売り出しがあるまで待つことにしたんです。待っている間は賃貸マンションで、妻と2人、ネットの画像検索やSNSを駆使してリノベーションのイメージを膨らませていきました。


奥様:
2人とも「和」のテイストが好きなのは共通していました。戸建てだったら縁側つくりたいね、などと話しながら、主人が好きな古民家リノベーションを実際に見に行ったり、ネットで画像検索しているうちに、これだ!と思う事例写真が見つかって。その写真の参照元を調べていく過程で、遊さんのことを知りました。


ご主人様:
しばらくして、希望していたマンションから100平米超、しかも角部屋の部屋が売り出されていることを知り、すぐにその物件を遊のプランナーさんに見てもらいました。そして、僕らが希望するリノベーションができるとのことだったので、そのまま物件を購入し、遊さんにリノベーションをお願いすることになりました。

一目惚れしたキッチンのワークトップ

奥様:
リノベーションで私が一番こだわったのは、キッチンです。私は料理をするのが好きなのですが、料理をするとき一人になる感覚が嫌だったんです。だから、対面キッチンにすることは必須でした。対面だと常に人の気配や部屋の空気を感じることができるから。ただ、対面にしてオープンスペースにキッチンを配置すると、どうしても匂いが室内にこもってしまう。そこでプランナーさんから、コンロを後ろの奥の壁際に配置することを提案してもらいました。シンクとコンロを別に配置することで、匂いの問題が解消しただけでなく、シンク横のスペースを広くとることができたのもラッキーでした。これだけ広いと、料理を夫とつくったりすることもできます。
そして何より、このワークトップ!陶磁器の素朴な風合いと深い色合いに一目惚れしました。ワークトップに焼きもの風の素材が使われているなんて!イメージしていた「和モダン」そのものでした。他のキッチンも見比べたりしましたが、これ以上のものはありませんでした。機能面においても優秀で、セラミック仕様なので熱に強く、直接高温のフライパンをおいても大丈夫だし、表面硬度が高いのでまな板無しで包丁を使っても傷つかないんです。見た目の美しさと機能性を兼ね備えた最高のキッチンです。
ご主人様:
キッチンの天井も見てください。サンフランシスコ空港の和食店の内装を参考にした化粧梁造作です。木調パネルで一本ずつの家具として造作してもらったのですが、実はこれ、すごく計算されています。キッチンのワークトップの雰囲気に合わせた木の色目、木と木の間のピッチ、木の長さ、厚み・・・。どれが欠けてもアンバランスになっていたと思います。配置バランスは、人間が最も美しいと感じる「黄金比」を採用しました。
そして、梁の間のスポット照明。最初は天井に埋め込むダウンライトにする予定だったのですが、それだと梁が光を遮ってしまうので、梁の長さと同じ長さのスポットライトにしたんです。ほとんど見えないんですけど、このスポットライトの周囲は黒色の陶器のような素材になっています。そこまで見る人いる?と思われるかもしれませんが、こういった目立たない部分のこだわりが、全体の雰囲気をつくっているんだなと思います。

空間にストーリーをつくる

奥様:
全体の雰囲気・・・といえば、プランナーさんの提案で「空間にストーリーをつくる」というアドバイスをもらいました。一つはキッチンの壁面。シンク横のタイルと壁際のコンロ横のタイルを同じにしています。ダイニングから見ると、空間が分かれているにもかかわらず、一つの絵(壁)として見えるでしょ?そうすることで、空間にストーリーができるんです。
ご主人様:
同じように、和室の床の間にも「空間のストーリー」をつくっています。床の間と隣の廊下の仕切りを壁ではなくガラスにして、ガラス越しに見える床材を同じにすることで空間につながりを持たせました。床材は、深みのある凹凸の「なぐり」加工を施した無垢フローリング。スプーンで削り取ったような丸みのある模様は、流れるようなリズム感を演出してくれています。


奥様:
もともと床の間をつくるのは私の希望でした。母親が花を生けるのが好きで、幼いころから身近に花がある暮らしをしていました。そのためか、私も大人になってお花を習うようになりました。そして今、改めて思うのは、家の中で季節感を感じられるのって素敵だなということ。日常にさりげなく花がある。それだけですごく心が豊かになります。それは主人も感じていて・・・。だから絶対、季節の花を飾れる床の間をつくりたかったんです。その希望がかなった訳ですが、床の間と廊下の仕切りをガラスにしたことで、和室からだけでなく廊下からも生花を見ることができるようになって。普通なら「和室」「廊下」と分かれている空間をつなげて、大好きな生花と共に部屋全体にストーリーがつくられていくことに、とても満足しています。


ご主人様:
和室で語れることは他にもたくさんあります。たとえば、リビングと和室の間の段差。人をたくさん招いたとき、気軽に腰掛けるスペースになります。段差を設けることで、空いたスペースに間接照明を入れたり、空間に立体感を出すこともできました。

たとえば、床の間の壁面。セメントの質感を活かした建築素材を使用しています。もともと外壁用に作られた建材のようですが、一枚として同じものがない無垢の素材であることが支持されてSNSを中心に人気が出てきているのだとか。生花との相性もとても良いです。

あと、障子!格子は自分でデザインしました。簡単にスケッチしたものをプランナーさんに渡したのですが、それをうまく加工してくれました。よく見てください。この障子、左右の2枚が違う模様になっているんです(縦軸の配列が、右は両端が2本、左は1本)。もともと僕がデザインしたのは1種類だったのですが、閉めたときに模様が連続して見えるように格子の並びを変えてくれたのです。これも空間のストーリーですね。

暮らしのリノベーションは、これからです。

ご主人様:
リノベーション工事は終わりましたが、暮らしのリノベーションはこれからだと思っています。暮らしをよりよくしていくために、インテリアや家電など、部屋に置くものはひとつずつこだわって選んでいきたい。単体で見たときいいなと思っても、思いとどまります。この空間のこの場所においたときどう見えるのか?を考えて選択します。そして、本当にいいと思えるものだけを揃えていく。余計なものは置かない。そうやってひとつ、またひとつ、自分たちの理想がカタチになっていくことに充実感を感じています。ちなみに今、和室に何も置いていないので、小さなテーブルを置きたいと考えているのですが、実家にある屋久杉のちゃぶ台を狙っています。親には、ダメだと言われていますが、いつか説得しようと思っています(笑)。

あとは、バルコニー。ガーデニングや家庭菜園もしてみたい。今回の工事でバルコニーは何もしなかったのですが、次に手を入れていきたいのはバルコニーです。リビングと同じようなフローリング材を使って、バルコニーデッキをつくりたい。室内と屋外に同じテイストの床材を使うことで空間につながりができて、また今とは違う空間を楽しめる。そうなったとき、この掃き出し窓のサッシが気になる。実は、多くのマンションでは窓の交換は管理規約で禁止されていますが、このマンションでは可能らしいのです。なので、ちょっと大掛かりになるけれど、窓の交換も考えています。今の3面窓を、オーダーで2面にしてもいいかも・・・とも考えています。そんなふうに、次から次とアイディアが出てきて止まりません。次はどうしようか?毎日、ワクワクしながらこれからの暮らしを考えていきたいと思っています。

<PHOTO LIBRARY>

写真(左)/家電や食器、インテリアにもこだわった空間でお茶をする至福のとき。
写真(中央)/通常は水平に配置する玄関框(かまち)を斜めにすることで、視覚効果として奥行きが出ました。奥の飾り棚には、奥様の生け花を。
写真(右)/トイレの手洗いボウルと竹集成材の曲げ特性を活かしたウォールミラー。トイレにも「和モダン」を取り入れています。